田島浩志総領事日米関係の進展を確認し、離任挨拶

柳淳新総領事がシカゴ到着

日米関係と日本-中西部関係成功を祈念し乾杯の音頭を取るスティーブン・ポッター・シカゴ日米協会会長(左)と、離任する田島浩志総領事

離任する田島浩志総領事

 田島浩志総領事の離任が決まり、ビジネス、文化、教育、福祉などの分野で日米関係発展への功労者を招待し、8月4日に離任挨拶のレセプションが総領事公邸で行われた。

  田島総領事は「2年前にシカゴに到着した時に、多くの人々からミッドウェスト・ナイスを楽しんで下さいと声を掛けられたが、まさにその通りだった」と話し、「ミッドウェストの人々は本当に温かく、人情溢れる思いやりのある人々だった」と2年間に出会った人々に感謝の気持ちを語った。

 在シカゴ総領事館の管轄州は、イリノイ、インディアナ、アイオワ、カンザス、ミネソタ、ミズーリ、ネブラスカ、ノースダコタ、サウスダコタ、ウィスコンシンの10州。2年間に60回のビジネス旅行をこなし、数百の会議に出席し、幾多のカンファレンスや大学で日本についての紹介を行って来た。

 日本政府を代表し自国について話して来た田島氏は、自身も日本についてより理解を深める事になったと話し、重要さを増す日米関係を数字で示した。

 

日米ビジネス関係

・日本と米国は広範囲にわたる産業界において、世界経済の約30%を占める。

・米国は日本の最大の投資国であり、最大の投資源となっている。

・日本の米国への海外直接投資は2011年の2,740億ドルから10年後の2021年には6,900億ドルとなり大幅に増加している。

・2022年の段階で、全米には約8,700の日本企業の事業所があり、在シカゴ総領事館管轄の10州で見ると、全米の18%の1,566事業所がある。

・日本企業の投資によって創出されている全米の雇用数は930,000を超え、在シカゴ総領事館管轄の10州では全体の16%の150,000となっている。

・日米間の地図上の距離は大きいが、両国は互いにトップの貿易パートナーとなっている。

・2022年の米国から日本への商品に関する輸出額は800億ドルとなっており、トップ品目の10位までをミッドウェストが占めている。また、米国の加工肉や穀物などの日本向け食品輸出は、その46%を管轄州の10州が占めている。

  

姉妹都市や姉妹州県関係

・日米間には431の姉妹都市提携が結ばれており、26の姉妹州県提携もある。これらの日米間の姉妹提携数は日米どちらにとっても最高の提携数であり、各々の他国との姉妹提携数に比べて最も多い。管轄州10州には70を超える姉妹提携がある。

・日米間の最初の姉妹都市提携は、1955年の長崎市とセント・ポール市(ミネソタ)だった。

・日米間の最初の姉妹州県提携は、1960年の山梨県とアイオワ州だった。

 

日本庭園

・米国内には200を超える日本庭園がある。ミッドウエストには40以上の日本庭園があり、日本関係のフェスティバルやイベント開催地として親しまれている。

 

観光

・コロナ禍以前は、米国にとって日本はインド-太平洋地域の中で最多の観光客源だった。一方、日本にとって米国は西洋諸国の中で一番人気の旅行先だった。

・日本へ旅行する外国人のうち、半分以上が米国出身のJETプログラム関係者となっている。

・在シカゴ総領事館は毎年100人以上のJET参加者を日本に送っており、全米の日本在外公館で募集するJET参加者数の約15%を占め、過去10年に亘ってトップの座を保っている。今年は90人がオヘア空港から日本へ出発した。

 

 田島氏は「数字を並べ立てたが、2年の間に会った人達や経験した事がどんなに心に深く残ったか…」と言葉に尽くせないと話した。そして最も印象的だった事の一つとして、ネブラスカ州の西端、スコッツブラッフにある20世紀初期に入植した日系人コミュニティを訪れた思い出を語った。

 そこにはジャパニーズ・ホールがあり、長い間日系人コミュニティが集まる場所となっていた。その建物は来年、ミュージアムとして再開されることになっているのだという。

 

 田島氏は多様なイベントを通じて知り合った人々と連絡を保ちたいと話し、任期中に皆さんと共に進めて来た事柄は、柳淳新総領事に東京で引き継ぎをし、スムーズに進むようにしたいと語った。

 

リオ・メラメド氏
シカゴ商品取引所 名誉会長

 来賓のリオ・メラムド氏(シカゴ商品取引所名誉会長)は、日米関係について「我々は特別な関係を持っており、日本は東南アジアで最強の同盟国だと学んでいる。そして、総領事はシカゴで日米関係を深化させる役割を担っている」と話し、6000人の命のビザという本で世に知られることになった杉原千畝氏について語った。

 杉原氏は1940年から41年まで、在リトアニアの副総領事として任務に就いていた。その折にリトアニアに避難していたユダヤ人から、ナチスから逃れるために日本経由で受け入れ国に向かいたいと、杉原氏にトランジットビザの発行を懇願した。

 杉原氏は、関与を嫌う日本政府の意向に反し、自らの人道的信念により2,000を超えるビザを発行し、そのビザによって6,000人のユダヤ人の命を救った。その一人が、当時まだ子供だったメラメド氏だった。

 メラメド氏は人類愛に基づいてビザを発行した杉原氏の決断に敬意をこめ、日本と共に何かをしなければならないと思っていた。「商品取引で日本の国を強くすることが私の役割だった」とメラムド氏は語った。

 任期を終えた田島氏は8月15日に機上の人となり東京へ戻った。新しいポジションは未だ発表されていない。

 柳淳新総領事は8月21日にシカゴに到着予定。

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