ナノ材料の光化学 日本語メインに戻る
 
目に見えない世界「ナノ材料の光化学」も興味深いものだった。発表した内貴博之氏は、ナノテクノロジーから製造されるナノ材料を光化学で計測・分析する研究を続けている。
 光化学とは、光照射下で物質の挙動について調べる化学の一領域で、光と物質との相互作用を取り扱う化学の一分野。
 取り付きにくい感じがするが、光化学の現象は自然界にもあり、植物に太陽の光が当たって光による化学反応、光合成が起きている。ホタルも身体の中で酵素による化学反応が起きてお尻が光る。このような化学反応がどの様に起きているのか、顕微鏡やレーザーを組み合わせて計測・分析することができる。
 光を当てると、どのような現象が起きるのか。物質に光を当てると物質の中の電子が光を吸収・共鳴し、エネルギーが高い特別な状態(励起状態)になり、次に化学反応を起こすことで現象が起きるというのが基本原理。
 光の吸収の効率、発行、散乱など、励起状態でのエネルギーの移動を顕微鏡とレーザーで測定することができる。
 この様な研究が応用されている身近な例が太陽電池。光を吸収して電子の移動が起き、電気が流れる。光る物質を細胞の中に入れ、細胞の構成を研究するバイオイメージにも応用されて
いる。
 人工で光合成は起こらないか、効率的にエネルギーを使える光触媒はないかなどの更なる研究が行われている。
 ナノ材料にすることで、何が起きるのか。
 例えばセレン化カドミウムは黒っぽい物質だが、ナノサイズにすると、サイズによって赤や青など、いろいろな色になる。
 金はナノサイズにすると、そのサイズにより赤や紫色に変化する。
 銀はナノサイズにすると、濃い黄色やオレンジ色に変化する。
 つまり、ナノ材料化することで、違う色の物質に変わる。これがナノ材料の一番の特徴だという。
 ナノ材料を応用したもので、特に注目されているのが量子ドット太陽電池。実用化されれば10 センチ平方の太陽電池で一軒当たりの電気量をまかなうことができるという。
 ナノ材料は光の反射や散乱が少ないガラスにも応用されている。モニターにも使われ、部屋
の蛍光灯の光が反射せずに画像だけを見ることができる。
 専門分野になるが、ナノ材料は単一光発生源への応用が期待されている。レーザーをある材料に当てると、一つの光子だけを発する材料があるという。
 内貴氏は「ナノ材料の利点は多く、これからの課題がいろいろある。ナノ材料の製造や制御をこれからもやって行かなければならない。それに合わせた超高性能な計測・分析技術が今後の化学の応用展開に繋がっていく」と語った。