世界は早送り可能か?量子力学的な見地から 日本語メインに戻る
 増田俊平氏は「世界は早送り可能か?量子力学的な見地から」について語った。
 物理学の魅力は普遍の法則を発見することだという増田氏は、2008 年に物質が運動加速するという複雑な課程の中で、原子の姿を変えずにどうすれば早く移動できるかという理論を発表した。原子を動かすことはできるが、それには時間がかかるものだという。
 増田氏によると、原子は野球ボールの様に一つのくっきりとした粒ではなく、ぼやけた雲のようなもので、一つの原子だが同時にいろいろな場所に存在しているものだという。
 その雲を乱さないように早く移動させるには、どの様な力をかければ良いのか。増田氏はベルギーの漫画家によって描かれた「タンタンの冒険」を例に説明した。
 執事のネストルがお盆に何本かのワインボトルを乗せて歩いていると、犬がネストルの足に当たってワインボトルが倒れそうになり、ネストルがあちこちに走ってボトルが倒れないように奮闘している場面。ワインボトルが原子の雲で、お盆にどういう力をかければよいかと考えれば分かり易い。
 原子を何も考えずに、1マイクロ秒という非常に短い時間で1メートル動かすと、原子の雲が乱れる。しかし、増田氏の法則によって動かせば雲は乱されずに早く動かすことができる。
 例えば、一夜漬けの勉強でもコツコツと勉強しても、テストの点数が同じだと言うことがある。コツコツの方が身に付くと言われているが、本当にそうなのか。長い時間をかけてできるものが、短い時間でできないのか、という疑問について考え、この研究を進めたという。
 研究で総ての問いに答える訳ではないが、原子の制御に関しては非常に短い時間でも同じものが作れるということを明らかにした研究だという。
 また、原子が粒ではなく、雲のようなものだということを実験で説明してくれた。電子が一つずつ、細長い穴が2つ開いている壁を通り抜けるとどうなるか。ボールのような粒であれば、2の穴のどちらかを通り抜け、たくさんの電子が通り抜けると、2つの穴の向こうに2本の線ができるはず。
 しかし、実験を何回も繰り返すと穴の向こうには2本の線ではなく波のような模様が現れる。ということは、電子は野球ボールのようなものではあり得ないのだという。
 説明は多少難しかったが、原子という目に見えない物の姿を知ることは興味深いことだった。