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火星の生命を探る(3)
良く似た微生物による堆積物、
火星と地球

• 火星探査機キュオリオシティが撮影した写真の研究により、古代の火星の堆積岩と、微生物で形成された地球の構成物に興味深い類似点があるとジャーナル・アストロバイオロジー誌が発表した。
• 複数の写真はイエロー・ベイと呼ばれるところにあるギレスピー・レイクの露出している岩を撮影したもの。ギレスピー・レイクの湖底は数十億年前には季節性の洪水に見舞われていたが現在は干し上がっている。火星はかつて温暖で水があり、古代の地球と同じような歴史を持つと考えられている。

• 地球では浅い水辺や海岸に微生物がカーペットのように集まり、堆積物を捕らえ固めなおしながら特徴ある形に化石化している。この様な構成物はmicrobially-induced sedimentary structuresまたはMISS(微生物によって誘発された堆積構造物)として知られ、地球上のいたるところに存在する。

• この研究をしたのはオールド・ドミニオン大学(バージニア州)の地質生物学者ノーラ・ナフキー氏で、微生物による構造物の研究に20年の経験を持つ。ナフキー氏は昨年オーストラリアの西部で34億8000万年前のMISSを発見しており、地球最古の生命の可能性があるという。

• ナフキー氏は研究の詳細をジャーナル・アストロバイオロジーで、37億年前のギレスピー・レイク湖底の堆積物と地球の堆積物が形態学上類似していると発表した。火星の堆積物にある侵食の名残り、くぼみ、ドーム、巻き上げ、穴、削られた形や割れ目などの特徴は、地球上では数センチから数キロにわたって至るところに見られるという。

• 火星から岩のサンプルを持ち帰らない限り、ナフキー氏の研究が火星の生命の絶対的な証拠にはならないが、同氏は「言えることは、仮説を裏付けるすべての証拠があり、その証拠は数多い」と述べている。

• NASAの惑星科学者で同誌の准編集長のクリス・マッケイ氏は、火星と地球の堆積構造が同じであることは、2つの惑星で同じメカニズムが堆積物を作ったにちがいないと述べている。また、ナフキー氏の論文は今まで見た中で最も注意深く研究されており、それがアストロバイオロジーに初めて掲載された理由だと述べている。

• ナフキー氏が見た火星の写真は、20年の経験を持つ同氏にとっては見慣れたものだった。同氏は写真を注意深く観察し、ドイツ、米国、オーストラリア、チュニジア、アフリカなどにある堆積構造と比較して調べた。そこには衝撃的な形態学上の類似があったという。

• 地球の堆積物の構造は環境によって異なり、例えば川辺と季節的な洪水がある場所ではその構造が異なる。ギレスピー・レイクに露出している堆積構造は、地球の同じような環境にあった場所で形成された堆積構造と一致しているという。
• ナフキー氏は、火星の堆積構造が微生物によるものでなければ、地球との類似は桁外れな偶然の一致になるだろうと述べている。

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• 写真は火星探査機スピリットが撮影したもの。左手前の崖の縁に、手を前に伸ばしている女性らしき姿が映っている。過去に作られた彫像か現在の火星の住人であるかは知る由もない。
• 写真はhttp://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/pia10214
でダウンロードできる


微生物による堆積物と見られる火星の岩(写真=NASA提供)

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NASAの火星探査機スピリットが2007年に撮影した写真。
(写真提供=NASA/JPL-Caltech/Cornell University)


上の写真の左手前部分に写っている
彫刻とも生物とも思える写真
(写真提供=NASA/JPL-Caltech/Cornell University)