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火星の生命を探る(5)
かつて火星には大きな海があった


• 古代の火星には地球の北極海よりも多くの水が地表に存在していたという発表が、NASAの研究チームにより発表され、3月6日付けのジャーナル・サイエンスに掲載された。ハワイにあるケック観測所の天体望遠鏡などを使い、火星の大気中にある水の特質を調べることによって、失われた水の量が推測できるという。

• 古代の火星には137メートルの深さで表面を覆いつくす程の水があったという。しかし、水が表面をまんべんなく覆い尽くすというよりも、北半球に海という形で存在していたと見られる。海は火星の北半球の約半分を占め、各所では水深1600メートルに達していたと見られる。

• NASAのジェロニモ・ヴィラニュヴァ氏によると、火星の水が宇宙へと失われた量を特定すれば、かつて火星に存在した確かな水の量を提供することができるのだという。そして、ヴィラニュヴァ氏らの研究により、火星の水の歴史をより良く理解することができると話している。

• 火星の水の量は、大気中にある若干異なる2つの水の形成状態を観測することによって推測されている。一つはよく知られているH2Oで、2つの水素分子と一つの酸素分子で構成されている。もう一つはHDOと呼ばれるもので、一つの水素分子がもっと重たい重水素に置き換えられている。これは自然界に存在する水素の一種。HDOとH2Oの比率を比べることによって、どれだけ火星の水が宇宙へ失われたかが分かるのだという。

• 非常に高解像度の天体望遠鏡によってHDOとH2Oの同位体の分布を見ることができる。同位体とは同じ原子番号を持つもので、中性子数の違いにより質量が異なるもの。
• ケック望遠鏡でキュオリオシティ探査機が着陸した地点近くのサンプルを観測したところ、周辺でも火星全体でも同位体の異方性があることも初めて分かった。

• 研究チームは火星の北極と南極に特に興味を持ち、調べている。北極には氷として水が保存されており、37億年前の水が表面に存在した頃の水の状態が閉じ込められていると見られる。

• 最近の発表によると、火星の両極の大気中の水は地球の海の水よりも8倍濃縮されており、現在残っている氷の6.5倍が失われたと見られる。このことから早期の火星には少なくとも2,000万キロメートル立方の水があったと推測される。
• 火星の地形は北部が低地となっており、火星の海はここにあったと見られる。また、その海は火星の表面の19%を占めていたと見られる。

• この様な研究から、火星には以前に考えられていたよりも長期に亘って水があり、より長い間生命が存在できたことを示唆しているという。
• また、現在も地下に水が保存されている可能性があり、微気候や大気中の水の内容から地下の水を探し出すことも可能になるという。


Image credit: NASA/GSFC