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俳人・宮下恵美子氏、デューリー小学校で俳句の授業
第15回世界俳句コンテストを前に

 10月1日から始まる第15回世界俳句コンテスト募集を前に、自称「英語ハイクのフィールドワーカー」という俳人の宮下恵美子氏がシカゴを訪れ、9月20日にJALシカゴ支店で説明会を開いた。宮下氏は前日にシャンバーグにあるデューリー小学校を訪れ、3クラスで俳句についての授業を行った。

 世界俳句コンテストは非営利団体・日航(JAL)財団によって運営されている。1990年に日本航空が資金を拠出しJAL財団を設立した。3つの事業を柱にしており、地球規模で考える若い世代の「地球人育成」を目的としている。

 俳句の普及活動と世界大会はその一つで、設立以来毎回テーマを決め、15歳以下の子どもを対象に世界俳句大会を隔年毎に実施している。

 当初はJALが運航している国々を対象に行われていたが、それ以外の国からも参加希望があり、現在は52カ国に広がっている。第14回大会では52カ国中、過去最大の36カ国から応募があった。

 第15回大会のテーマは「Living Things」で、応募期間は2018年1月15日まで。英語で書いた俳句と共に、その俳句のイメージを絵に描いたものを添えて応募する。応募用紙はJAL財団のウェブサイトhttp://www.jal-foundation.or.jp/contest-e.htmlからダウンロードでき、中西部であればJALのシカゴ支店に俳句、絵、応募用紙の3点を送付する。住所はJapan Airlines, P.O. Box 66078, Chicago, IL 60666。

 ウェブサイトには52カ国で使われているすべての言語で掲載されている。例えばポーランド語など、それ以外の言語で俳句を書きたい人がいれば、日本のJAL財団に直接応募できる。また、日本人やアメリカ人で、例えばフランス語で俳句を書きたい人は、フランス語の送り先に直接送ることができる。

 応募作品は各国で審査され、優秀作品が日本のJAL財団に送られる。入賞者には表彰状や賞品が贈られ、可能な国では日本領事館や大使館で表彰式が行われる。また、入賞作品は「地球歳時記」という本に編集され、各国の図書館などに配布される他、JAL機内のスクリーンでも映像で見ることができる。本や機上の映像となることで、入賞した子ども達には非常な名誉となる。本は入賞者の国の言葉、英語、日本語で書かれている。

 一方、「地球歳時記」は、52カ国各々の文化背景、経済背景、政治背景などを知る貴重な詩集でもある。途上国の子どもの俳句には「学校に行くためにお父さんが貯金箱を割って学費を工面してくれた」という内容が書かれていた。また、政情不安定な国の子どもの俳句は「朝起きたらお母さんと弟がいた」というだけのもので、無事で良かったという思いがひしひしと伝わって来る句だという。大賞作品はウェブサイトにも掲載されている。また、本の購入情報も掲載されている。

 俳人の宮下氏は、国際俳句交流協会評議委員、俳人協会幹事、JAL財団の理事でもあり、英語俳句の日本語翻訳も行い、俳句に関する多くの英語の著書も出している。

 宮下氏によると、日本の俳句は5・7・5の形だが、このリズムは世界の言語に対応していない。このため、外国語の俳句は3行詩の形を取っている。句の内容を重視するため、内容によって長くなったり短くなったりするのだという。

 宮下氏は「毎日、小さな季節の変化を見つけながら暮らしたら、どんな人生になるだろう。俳句は自分の季節体験を文字で書き表し、自分が感じたことを他の人々とシェアできる楽しさがある」とアメリカの生徒達を触発している。

 また、季語を紹介し、アメリカの子ども達に俳句を作る切っ掛けを導いている。その中にはハロウィーンがあるのが興味深い。

 JALの俳句奨励活動は古く財団設立以前の1964年、東京オリンピックの年にアメリカのラジオ番組で俳句コンテストを呼び掛けた。この時は4万1,000句の応募があった。この時の優勝作品は「ビターモーニング、電線の上に雀が首をすぼめて止まっている」と日常生活の情景が浮かぶものだった。

 宮下氏は「インターネットの普及で俳句が各国で盛んになって来たので、コンペティションが生まれ、どんどんクオリティが高くなってくると思う」と語る。

 世界俳句大会は27年間続いており、継続が実りを見せることもある。JAL財団事務局の浜崎明美氏は、上海で継続危機があったが、上海当局担当者が10歳の時に俳句大会に応募したことがあり、継続すべきだとの言葉があって継続が決まったというエピソードを語った。

 JAL財団では東南アジアの大学生や院生を日本に招くスカラシップ・プログラムや大気観測事業も柱としてやっている。

 JAL財団常務理事の田中順二氏によると、スカラシップ・プログラムは財団以前の1975年から始まっており、そのプログラムで日本に来ていたインドネシアの人が最近ジャカルタの州知事になり、当時のJALのプログラム担当者と感動の対面を果たしたと、心温まるエピソードを紹介してくれた。


Haiku Poet Emko Miyashita gives a haiku lecture at Dooley Elementary School in Schaumburg.

From Left: Akemi Hamazaki, Emiko Miyashita, and Junji Tanaka